コツ……
コツ……
重い足音が響く。
あたしの心臓は激しく警告を発している。
そんなあたしの目の前に、携帯が落ちているのが見えた。
震える手で携帯を伸ばし、必死に操作する。
あたしの手はなかなか言うことを聞いてくれず、思うところを押してくれない。
それでも必死に頑張り、ようやく繋がった電話。
呼び出し音が聞こえ……
出てくださいと必死に祈る。
「はい」
電話の向こうの彼に、震える声で告げていた。
「平さん……助けて……」
「藍ちゃん!?」
彼の慌てた声が聞こえる。
「どこにいるの?藍ちゃん!?」



