シンデレラの魔法は解けない






そんなあたしを、平さんは驚いた顔で見る。

ここで怯んではいけない。

あたしが出来ることといったら、真正面からぶつかること。





あたしはしっかり平さんを見て、口を開いていた。





「ごめんなさい。

平さん、仕事のことなんて考えたくないのに。

それに、きっとかっこいい平さんでいるのは、息が詰まるのに。

あたしは彼女なんだから、あたしの前では自然体でいいんです」



「ちょっと……藍ちゃん?」




平さんの気まずそうな顔なんて気にしない。

あたしはしっかり、自分の意見を伝えるんだ。





「あたしの前ではスウェットでいいんです。

ヤンキー座りして、暴言吐いてもいいんです。

平さんが無理するのが、あたしにとっては一番辛いんです」



「……藍ちゃん」