暗い顔のあたしに、平さんは相変わらず穏やかな顔で告げる。
「今日は、Fのライブ衣装の打ち合わせだよ」
「Fって、あのバンドの……」
思わず言葉を失っていた。
平さんがすごい人たちを手がけているのは知っている。
でも、東京ドームでライブをするような、Fだなんて。
「あたし……F、好きなんです」
「だよね。彼らのこと、みんな好きなんだよね。
だから俺も、彼らのイメージを悪くしないように頑張らなきゃ」
平さんは楽しそうにあたしに告げるが……やっぱり昨日の会話が気になって、あたしは平さんに謝っていた。
「ごめんなさい……」



