シンデレラの魔法は解けない







「藍ちゃんはワイン飲めるんかな?」



「はい、少しなら。

……平さんは飲まれますか?」



「俺はこの後仕事があるから、今日は飲めないんだ」




申し訳なさそうな平さんに、



「それならあたしもノンアルコールにします」



笑顔で言う。

そして、思わず聞いてしまった。




「仕事って……どんな仕事ですか?」





そう聞いて、ふと昨日の出来事を思い出してしまった。




平さんは仕事ばかりでアタマがおかしくなると言っていた。

こうやってデートしている時も、仕事のことは考えたくないのだろう。

それなのに、あたしはなんで聞いてしまったのだろう。

あのヤンキー友達は平さんの安らぎの場だが、あたしは平さんを休ませてあげることは出来ないのか。