『ビンゴ、です、莉央さん。ありました』



「、どこだそれ」



『でも……無理です、いつみ先輩』



返ってくる浮かない声。

どうしたといつみが聞けば、ルノは「そっちに情報送ります」と返してくる。いつみのパソコンに送られてきたそれを、4人で覗き込めば。



「……、無理、ね」



「これは……

付近の防犯カメラも覗けねえんじゃねえ……?」



一等地の中でも、最高級。

30階建ての高級マンション。──大物政治家から芸能人まで、有名人が住むと噂の、厳重すぎるマンション。




「でも、これは一般人じゃ入れねーだろ……」



『一般人なら、です。

今日出席のついていない教養学科の生徒のうち、ひとりは祖父が有名な政治家で、』



「、」



『さすがに……

「八王子」の名前を使ったとしても、すぐには対応してもらえないかと』



チッと、いつみが何度目かの舌打ちをする。

そういえばと周りを見たが、気づかないうちにいくみさんはこの場からいなくなっていた。



「完全に、詰んだわね」



苦々しく、夕がつぶやいた、そのタイミングで。

スマホが鳴って、いつみがそれに手を伸ばした。