「いつみ、朝に連絡が来たってことはつまり、もうその時点で彼女たちは接触してるってことでしょう……?

万が一……昨日の時点で、もう既に接触されてたらどうするの」



「いくみ。あいつの家どこだ」



「……それは悪いけど、

あの子が自分で言わないなら教えてあげられない」



「、緊急事態だろ」



「それでも、よ。だけどあのマンションは、絶対に一般人じゃ立ち入れない。

木崎くんが昨日マンションまで送ったって言ってるから、その後にひとりで家を出てないなら、何かあったのは今日の朝よ」



転校してきた時から、あいつの情報は俺らのところに入ってこない。

今だってそうだ。緊急事態とまで言われても、詳しいことは何も教えてもらえない。



わざとらしすぎるほどに、何も。




「チッ、もういい。

ルア、ルノ。そっちで何か分かりそうか?」



『家の場所がわからないなら、付近の防犯カメラも調べられないですし。

ひとまず学校付近の防犯カメラはあたってますけど、』



何か情報を、と。

はやる気持ちだけが空回って、何かを見逃しているような気がしてならない。──何、か。



「ルノ、ルア!

このあたりのマンションで、階数表記にローマ数字使ってるマンションとかねーか!?」



「……ローマ数字?」



「前に何かの話してた時に、あいつがローマ数字をさらっと読んだんだよ。

「うちのマンションは階数表記が全部ローマ数字だから見慣れてる」、っつってた」



些細な手掛かりでしかねーけど。それでも、ローマ数字なんて特殊なもん使ってるマンションなんか、そう多くねーはずだ。

ほかに手掛かりは見当たらないからと、ひとまず頼るように返事を待っていれば。