「ロイヤル部は、『姫』を探してる」



「姫?」



「会長の名字は、珠王。つまり『王様』。

副会長は女王(めおう)先輩で、『女王様』。ロイヤル部のメンバーは、全員が王宮関連の名字のメンバーで構成されてる」



ということは、つまり。

わたしが呼ばれたのは、名字が『姫川』だから。姫を探しているなら、姫川のわたしが、当てはまるということだろう。



「ロイヤル部のメンバーは、基本的にC棟から出てこない。

そのくせ美形揃いだから、まあ、ロイヤル部に直接呼び出しを受けた女は……大半の女子生徒から、良くは思われないだろうな」



教室に女子がいるからか、軽い物言いで済ませる大和。

なるほど、だから放送がかかった瞬間のあの歓声か。



どうやらロイヤル部の放送は、かかる際に必ずさっきの音が鳴るようで。




「その中でもトップの"会長"に呼ばれたわたしは、嫉妬の対象ってわけね」



「……まあ、そうだな」



「……ふぅん」



両親も、そんな面倒な仕組みのあるところにわたしを入れなくたって良いのに。

「目を通しておく?」と聞かれて「ううんいらない」とパンフを見なかった自分をいまさら恨む。



「じゃあ、放課後に行くわ。

それまでに、もうちょっと詳しいこと教えてくれる?」



「うんっ。昼休み、いっぱい話そう?」



気まずい雰囲気を流すように、明るく甘い声でそう言ってくれるみさと。

頭を撫でてあげればふわりと嬉しそうに笑って、幾分か気まずい教室の空気をゆるめてくれた。