「そろそろ行かなきゃ……」
すこし経って時計を見た南々瀬が、名残惜しそうにソファを立つ。
見送るために玄関まで一緒に向かえば、南々瀬が「毎日1回電話するね」と俺を見上げた。
「ああ。待ってる」
「お土産もたくさん買ってくるから」
……完全に子ども扱いだな。
でも楽しそうなその表情を見る限り、子ども扱いしている自覚がないんだろうと口を挟むこともなく。さらりと彼女の髪を撫でれば、南々瀬がひょこっと背伸びした。
「ん、」
気づいてわずかに屈んでやれば、一瞬だけ触れるくちびる。
至近距離で彼女が不敵に笑うのに合わせて、南々瀬の髪が撫でるように俺の肩に触れた。
「いってきます」
「気をつけてな。……いってらっしゃい」
扉を開いて、キャリーケースを引く彼女の姿が見えなくなるまで待っててやる。
ギリギリで振り返って手を振った南々瀬に、思わずくすりと笑った。
きっと笑顔で、帰ってきてくれることだろう。
それをわかっているから、何の不安もない。
『"わたしの"って、証拠なの。
……わたしだけに、独占、させて?』
胸元に手をやればそう言って数日前の誕生日に渡されたネックレス。
指輪とネックレスでは、色々と形に差があるにせよ。
想いも。見ている未来も。
俺らは、同じだ。──14年前の、あの日から。
【こちら王宮学園ロイヤル部 完全完結】



