【おまけ】
「忘れ物ねえか?」
さっきからぱたぱたと部屋の中を駆け回っている彼女に問えば、「それは大丈夫」と笑顔の返事。
それは、ということは、いま駆け回っているのは家の用事を済ませていきたいからだろう。
ちらりと時計を一瞥してから、「南々瀬」と声を掛けた。
朝早くに起きて、俺の飯の準備まで済ませて。一応これでも18なんだから、数日放っておかれたぐらいじゃ死んだりはしない。
……が、南々瀬は心配性らしい。
落ち着かない様子を見て、思わず苦笑する。
「なに? あとこのお皿洗っていきたいから、」
「それぐらい、やっといてやるよ。
……ほら、こっち来て座れ」
強制的に呼び止めてソファに座らせる。
左手の薬指に嵌めた指輪に、王学の校則がゆるくてよかったな、とひっそり思った。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「う、それはわかってるんだけど……」
「ならお前は旅行のことだけ考えてればいい。
……関西、楽しみにしてたんじゃないのか?」
聞けば、ぴくりと揺れる肩。
どうやらバレてないと思っていたらしい。が、荷物を詰めている間からご機嫌だったことくらいは知ってる。
「特に京都、楽しみなんだろ?」
「……なんで知ってるの」
「この間スマホの検索開いたまま寝てたぞ」



