ムードも壊してしまうように口を開くわたしの言葉を、先輩はちゃんと聞いてくれる。
どうしよう。……こんなときに、泣きそうだ。
「わたしが……
どれだけ、先輩のこと、すきなのか……」
「……ああ、」
「ちゃんと、知って……」
生半可な気持ちじゃない。
すぐに手放せるような気持ちで14年間のあなたの気持ちに応えようとしたわけじゃない。
「だいすきなの……」
細められる漆黒の瞳。
しっとり汗ばんだ指を絡め直して、「ああ」ともう一度口にするいつみ先輩。シーツの冷たさは、ここまでくると逆に体温と混ざって心地よかった。
「恥ずかしくて……
いままで、ずっと言えなかったんだけど、」
「………」
「好き。 好きよ……いつみ」
ああ、きっとあとで思い返してすごく恥ずかしくなる。
なんで勢いであんなこと言っちゃったんだろって、ぜったい恥ずかしくなる。
「……、参ったな」
「、」
「お前がかわいすぎて……
愛おしすぎて、どうにかなりそうだ」



