でも同じ学校に入る、という彼の目的は、一応達成できてる。
それに夕帆先輩は普通の高校だとせっかくの新人アイドルの個性が潰れてしまうから、夕陽に王学に入るようにずっと言ってたみたいだし。
……夕帆先輩、ほんとは夕陽のこと好きでしょ。
顔を合わせたら口喧嘩してるけどほんとは好きでしょ。
「あー……そうだったな」
ぽつり。
なんだか不自然な声色で、独白をこぼす莉央。
それが妙に気になって、ん?と顔を上げたら。
「、」
なぜか。
なぜか、ふっとくちびるが触れ合った。
「……え!?」
「声デケーよ」
「ご、めん……?
っていうかなんで急に……っ」
なんで急にキスされたの。
状況がぜんぜん理解できない。思わずそう言ってあたふたするわたしに、意地悪く笑みを浮かべた莉央。いたずらっ子みたいな、それで。
「別に?
そういえばお前と夕陽付き合ってたなと思って」
あえて探らせるような言葉を放って、心臓を揺さぶってくる。
わたしと夕陽が付き合ってたから……?
だから、なに?
そこからキスに直結した理由を、わたしは教えてほしいのに。その笑みの下にあるの、は?



