「……ねえ。

今日みんな来るって言ってなかったっけ?」



「言ってたな」



「2時間経っても誰もこないんだけど。

……っていうか誰にも連絡繋がらない」



卒業したいつみ先輩と夕帆先輩は当然来ない。

椛もたまに弟妹と出掛けることになってごめん行けないわ~って連絡が来るからめずらしいことでもない。まあ連絡来てないけど。



そしてルアとルノ。

あのふたり実家に帰ってるけど今日は来るって言ってたわよね?どうして来ないの?



「今日役員決めるって言ってあったのに……」



思わず、はあ、とため息が漏れる。

まあ決めるなんて大袈裟なものではなく、理事長からもらったリストの中から、もうひとつの用紙に名前を記入するだけのもので。




もともと、王学の生徒会は各学年ふたりの6人構成らしく。

そのうち片方にわたしが収まってしまえば莉央と椛を選べなくなってしまう。だから理事長に直談判して枠を増やす許可をもらった。



「……もういい」



小さく零して、『生徒会長』の欄に自分の名前を書く。

新しく出来た『生徒会長補佐』に椛、『副会長』には莉央とルノ、『会計』にルアの名前を入れる。



その下にある『会計補佐』『書記』は、1年生が入学してからだ。

端からみんなを外す気はなかったし、かなり私情をはさんだメンバーではあるけれど。



理事長も、「それできみが、生徒会が、学園が。すべて上手くいくと思うなら、反対しないよ」と言ってくれた。

なんだか威圧のある言葉だけど、全員がロイヤル部、つまり生徒会出身のため、とくに問題視はしていない。



「俺の記憶が正しけりゃ、

『生徒会長補佐』なんて無かったはずだぞ」



不思議そうに首をかしげている莉央に。

3年生が3人いるから、とその経緯を説明すれば、彼は「ああ」と納得してくれた。