どうせ「学校の方が過ごす時間ながいでしょ?」とかいう理由しかかえってこないだろうからわたしも聞かない。

そもそも次元離れしたルアとまともに話そうと思ったら日が暮れる。



……なんて、つらつら意見を述べてみるけれど。

本当にこの場にいる目的を見失っているのは確かだ。



「ななせは、自分のつかいかたがへただよね」



「………」



しかもなぜか唐突に貶されている。

状況を理解しきれなくて目を瞬かせるわたしに、彼はいつものような甘さを残したたままやわらかく笑った。



「がんばらなくても、ぼくたちがいるよ」



ぐっと、喉の奥が熱くなる。




「そんなに気負わなくても、だいじょうぶ。

だから、もっとリラックスしなきゃだめだよ」



「……ルア」



「ちょっとはくつろげた?」



ルアは。

ふわふわしているけれど、しっかり、まわりを見てる。わたしが思っていた以上に、この人はわたしのことを見ていてくれたのかもしれない。



ばかだ、わたし。

ルアのことを、好きになったのは。



「……ありがとう、ルア。

ルアのおかげで、ひさしぶりにこたつに入ってゆっくりできたわ」



この人が、すごく優しい人だからだって、知っていたからなのに。

双子の兄が傷つかないように。ほかの誰にもできないやり方で、守ろうとした優しい人なのに。