「……もしかして、
さっき俺が言ったこと気にしてます?」
「はい……?」
「経験ない男が相手なの、嫌ですか?」
……は? え?
この子何言ってるんだろう。もう一度言おう。この子真顔でわたしに対して何を言ってるんだろう。
「南々先輩ってはじめてなんですよね?
ならやっぱり、経験豊富な男の方が……」
「勘違いにもほどがあるでしょ」
おかげで冷静になったけども。
なんだかものすごい勘違いをしているルノを目の前に、ふうっと小さく息を吐く。
「そういうことじゃなくて。
わたしだって……相手はルノがいいけど」
「なら問題無いですよね?」
「ポジティブ思考すぎる」
問題がないと言い切るその表情が真顔なのがまた怖い。
折れてくれそうにないルノの髪に手を伸ばして、そっと髪を撫でる。
そのまましばらくは、されるがままで大人しくなっていた彼。
視線を絡ませれば部屋の照明の関係か、瞳の色は思わず背筋がざわつくほど深い色合いになっていた。
「……、」
あ、と。何か声を発するよりも早く、また懲りもせずにキスされて。
身体が沈む感触に、これはもうあきらめてくれないんだろうなと察しながら、そっと彼の髪に指を潜らせた。



