「ルノばっかり、余裕で……」
「………」
「わたしが年上だからしっかりしなきゃ、って、思ってるのに……
どうすればいいのか、もう、わかんなくて、」
どの口が"だめ"なんて言うんだ、本当に。
ただ訳が分からなくなっているだけで、嫌だなんて微塵も思っていないのに。
「南々先輩」
ルノの声はいつだって優しい。
さっきまではすこし意地悪だったけど、出会った時からずっと、ルノは一貫してわたしに優しい声をかけてくれていた。
わたしにロイヤル部に入る決断をさせたのも、
どうしようもなく優しいこの人だ。
「俺のことそんなに余裕げに見えてるなら、
それは南々先輩の大きな勘違いだと思いますよ」
「……え?」
「さっきだって……
いきなり抱きしめ返されて、あんなもので動揺するぐらい、俺だって余裕ないです」
つい先ほど見たばかりの、赤い表情。
「あと、最初も……
声掛けるのに、ちょっと緊張してました」
最初にかけられた、声。
やっぱり緊張していたのかと知ると同時に、なんだか"余裕"とはかけ離れたルノの行動に、ぱちぱちと目を瞬かせた。
「だから俺に余裕があるわけじゃないです。
あと、俺が中学時代どこに通ってたのか、南々先輩は知ってますよね?」



