つらつらと、脳内でどうにもならないことを考えてみる。
そのどれも上手く言葉にできなくてあたふたするわたしを、また余裕げに見下ろして笑った彼は。
「、」
音もなく、くちびるを重ね合う。
それにハッとして手に力が入ったけれど、さらにキスを深められて。
羞恥心で目の前の綺麗な表情を見ていられなくなって、たまらずにまぶたを伏せる。
目をつむっていたはずなのに、それに気づいたようにまた角度を変えられて。
浅く深く、わずかな時間で何度も翻弄される。
「っ……は、」
ようやくくちびるが離れたころには、すっかり息の上がったわたし。
この場にそぐわないことを言うのなら、もう抱きしめてもらう必要がないくらいに、熱い。
「やっぱ、どっちにしろお仕置きするかも」
「は……!?」
「だって南々先輩、かわいすぎるし」
くらくらを通り越して、ぐらぐらする。
意味深なそのワードにも、突然敬語のはずれたルノの話し方にも、甘い彼の口説き文句にも。
陶酔させられるみたいに。
たっぷりと彼に嵌まり込んでしまったようで、気付いた時にはもう手遅れ。
「南々先輩」
耳をかすめる吐息に、またらしくもなく体温は上がる。
春になりきらない外の気温と、不自然に熱を上げる身体の温度差が不恰好で。熱に浮かされて余計な言動をとらないように、冷静になろうとするけれど。



