「……その顔、すげえかわいい」



「っ、」



自分がどんな顔をしているのかもわからないせいで、余計にはずかしい。

服の中で這い上がってくる手を、なんとか抑えて引き止めたけれど。全身が熱い。



「手っ取り早く男だって分からせた方がはやいか」



「夕帆、先輩、」



「ごめん。

……もう俺いま、男のスイッチ入ってるから」



甘い甘い瞳に、囚われて。

スッと服から抜き出された手をどうすることもできずに見つめていれば、ふわっと身体が浮き上がる。




「ひゃ、」



なんでお姫様だっこなの……っ!

っていうか、え? 男のスイッチってなに?



「南々瀬」



すたすた先輩が向かった先は寝室で。

置かれているのは広いベッドがひとつ。



それがわたしと先輩の体重を受けたことで、ギシリと意味深に音を立てて軋む。

見上げた先でふっと蠱惑的に笑みを浮かべて、先輩はくちびるを重ね合わせた。



「んっ……」



待って待って、ワケわかんない。

キスの深さに溺れそうになって、彼の首裏に腕を伸ばして、自分から積極的になるけれど。