「椛先輩ってほんと南々先輩に甘いですよね」



「まあねえ。

でもそれはルノも同じじゃねえの」



「……否定はしませんけど」



お互いに許容できる親の感情なんてわかりたくもねえけど。

それでもそこにある何かを知りたくて、狙ったのはあえて左手の薬指に愛を誓った指輪をした人ばかり。



だけどばかみたいに。

答えなんて、出てくれなかった。



「……好き、ねえ」



たとえば。

南々ちゃんが俺のことを好きになってくれたら、それこそもう二度と離せないのに。




なんて思うのは俺だけだろうか。

一生変わらず想い合っていられるなんて、結局は夢物語でしかないのかもしれない。



「今度さぁ。夕陽も呼んで飯でも行かね〜?」



「いーけど、夕陽がすげー嫌がりそうだな」



女は所詮女のまま。

どう足掻いたって妻にも母親にもなれないのかもしんねえけど。



「強制連行して、4人で傷心会……ですね」



それでもきっと俺らは同じ結末をたどって彼女を好きになるんだってこと。

お互いに、言わなくてもわかってた。



【秘密ではないが言えないこと】



……いつか、笑顔で。

好きだったって言える日が、来ればいい。