「……いっくんと上手くいったのかな」
「………」
ずっと親友として、そばで見てた。
偶然出会った綺麗な女の子に一目惚れしたっていう夕陽が、その瞳に映ろうとして悩んでたこと。
夕陽はプライドが高いから、自分から行動にうつすのは苦手だ。
それはアイドルになった今としては、プロ意識になっていいと思うけど。
アイドルになった理由も。
どこかで彼女の瞳に映りたかったから、だ。
「上手くいったから、もどってきたんでしょ」
ふっと、ため息をつく夕陽。
その表情はやっぱり綺麗で、だけど目の前にある現実に、憂えているようだった。
「……仕方ないって。
どうせいつみがいなかったら、もどってくることもできなかったんだろうし」
「……うん」
「……仕方ないよ」
仕方ない。それが最善策だった。
そう考えたって、何度だって、消せない感情がある。とっくに消せるならきっと、夕陽は何年も彼女を想ってない。
「夕陽はさ」
「……なに?」
「ほんとに素直でいい子だよね」