温度のない声で、そっけない返事。

それをしばらく続けていた彼は、電話が終わると同時に、はああああ、と本当にしあわせそうが逃げそうな長いため息を吐いて。



「……夕陽ってほんとに演技派だよね」



俺の部屋に置いてあるクッションに、顔をうずめた。

そこから目だけちらりと覗かせた夕陽。



「……さすがでしょ」



「うん。でも今は嬉しそうな顔だだ漏れ」



「……うるさい」



そんなに締まりのない顔で何言ってるんだか。

……いや、自覚があるからそんなに言い返してないんだよね。




「南々先輩、なんて?」



「……日本もどってきたって」



「よかったね」



「……うん」



同じ男の俺から見ても相変わらず夕陽は綺麗な顔してるなぁ、と思う。

あと、先輩の話をするときはすごく素直だ。



「4月から同じ学校通えるね」



言ってあげればちょっと嬉しそうな顔をするから、なんだかんだ単純だなぁと思って笑ってしまった。

……上手くいってくれれば、よかったんだけど。