シンとした廊下は、静まって冷たい。

卒業式の昨日は晴れていたのに今日は雨だから、余計に冷たく感じる。



C棟3階。

いつみ先輩と夕帆先輩の部屋の荷物はすでに撤去され、ふたりの部屋のカードとC棟の出入りに使用していたカードはわたしが預かって理事長に返却した。



左手薬指には、慣れない指輪の感触と。

ブレザーの襟には、ふたつのバッジ。



「……、」



C棟の手前の階段を上がって、通り過ぎる部屋のプレートにはティアラと王冠。

そして、立ち止まったわたしの部屋。



プレートの上には黒いセロファンがかかっていて、下のモチーフは見えない。

なんだかドキドキしながら、ゆっくり剥がしてみれば。



「、」




その下に現れたものを見て、思わず瞠目する。

……これ、って。



「指輪……」



左手薬指に嵌められたそれを、思わずモチーフと見比べてしまった。



絵の部分は平面だけど。

指輪と同じように、透明な宝石が埋め込まれてる。



というか、指輪をそのままイラストにしたみたいな。

唯一同じなのは宝石が嵌め込まれていることだけ。でも、見ただけでわたしが昨日もらった指輪と同じものだってことはわかる。



だから卒業式が終わるまでは内緒、だったのか。



【小ネタ3 モチーフができました】



わたしのモチーフはどうやら、

透明なダイヤモンドリング、らしいです。