卒業式まで、もう間も無く。

ということはつまり、ロイヤル部から先輩ふたりがいなくなるまであとすこし。



そんなとある日。



「そういえばよー」



思い出したように口を開いたのは莉央で。

彼の視線の先はなぜかわたし。どうやらわたしに対して話をしているらしい。



「ロイヤル部って、一応モチーフあるだろ?

お前の部屋って何のプレートなんだよ」



「……モチーフ?」



首をかしげれば、「ドアのやつ」と短い返事。

ドアのモチーフ……ああ、わかった。あれだ。




「さあ。わたしの部屋には何もないわよ」



ロイヤル部には、一応全員にモチーフがある。

例えばいつみ先輩には金の王冠、夕帆先輩は銀のティアラ。双子はそれぞれ紅白のバラで、椛がブロンズの甲冑、莉央が黒馬だったはず。



それぞれ自室のドアにそのプレートがかかっているけれど、わたしの部屋の扉には何もない。

姫だとティアラのイメージだけど、それだと夕帆先輩とかぶっちゃうし。



「南々ちゃんのモチーフつくるなら〜、

とりあえず色はピンクがいいよねえ」



「そうですね。

南々先輩っぽいものって何かありましたっけ」



「花とか?

でもそれだとちょっと安易かしらね」



わいわいわいわい。

気づけばわたしそっちのけで盛り上がっているみんな。