いくみさんもホッとしたような顔をしてるけど。

"一生喧嘩しねえな"って……いや、うん。



仲良いでしょ。

ふたりとも絶対仲良いでしょ。



「解決したなら、よかったですね」



「うんっ。じゃあ、またね」



仕事の合間にここへ来たらしいいくみさんは、頰を綻ばせてから忙しそうに部屋を出ていく。

それを見送ったところで、夕帆先輩が突然何かを思い出したようにわたしたちを見た。そして。



「で、何かお願い事聞いてくれるのよね」



にっこり。

恐怖でしかない笑みに、ふたり以外の表情が一瞬にして凍りつく。っ、なんで余計なこと言ったんだわたし……!




「そ、それって無効なんじゃ」



「まさか。ちゃんと聞いてもらわなきゃね」



楽しげな女王様。

絶好調な夕帆先輩を、わたしたちが阻止することなんてできるわけもなく。



「何が良いかしらね、いつみ」



「……別に俺はなんでもいいけどな」



ぼそぼそと話し合うふたりを見て、わたしたちが思ったことはおそらくひとつだろう。



【小ネタ2 阿吽の呼吸】



二度とこの幼なじみコンビを敵に回したくない。

っていうか喧嘩のフリなら先にフリだって教えて欲しい。巻き込まないでください……!