何かと思えば、申し訳なさそうな表情を浮かべて謝った。

さっきまで仲良さそうだったふたりは、何事もなかったかのような表情で離れているし。



「ほんとにごめん……っ!

反省してるから、お願い仲直りして!?」



「……仲直り、って。

いくみさん、何かしたんですか?」



あたふたしているいくみさんに。

声を掛ければ彼女は、慌てながら身振り手振りで説明してくれたのだけれど。



どうやら、夕帆先輩といくみさんの恋愛事情は、ブラコンな彼女によりいつみ先輩に筒抜けらしく。

ブラコンが重症すぎて事細かに説明してくるいくみさんに対し、毎回いつみ先輩は完全に呆れ、夕帆先輩が機嫌を損ねる。



あまりにもそれが何度も続いたせいで、ついに、いつみ先輩と夕帆先輩が喧嘩し。

自分が原因で仲直りしてくれないからと、彼女は焦っている。



……それって、つまり。




「ごめんね、いつみ、夕帆」



3日間の喧嘩は。"喧嘩のフリ"ってこと?



「……だってよ、夕帆」



「そうね。

いつみと話すのにわざわざ誰かを通すの、すごく面倒なのよ。何回キレそうになったか」



「……俺らたぶん一生喧嘩しねえな」



「うん、あたしもそう思う」



ピリピリモードはどこへやら。

いつも通りに会話しているいつみ先輩と夕帆先輩。