「そもそもなんであいつら喧嘩してんだよ」
「それがわかったら困ってませんよ」
「3日前ってなんかあったっけ〜?」
3日前……特に何もなかったと思うけど。
わたしが帰った後に何か揉めたりしたんだろうか、と。ふつふつ悩んでいれば、ルノににっこりと笑顔を向けられた。
え、なにそのプリンススマイル。
微笑んでるはずなのにめちゃくちゃ怖い。
「南々先輩、お願いします」
「えっ」
なんでわたし……!
さっきも言ったけど付き合いの長い莉央が行くべきだと思うの……!
「夕さんはともかく……
いつみ先輩は僕らじゃ絶対に口利いてくれないと思いますよ?南々先輩じゃないと」
「………」
まあ、ルノの言っていることはわかる。
いつみ先輩は夕帆先輩への伝言に毎回わたしを経由するし、用事がない限りはほかのメンバーと言葉を交わさない。
でも、だ。
あんなに機嫌の悪いいつみ先輩に話しかけろと?
「大丈夫だよ〜。
いっちゃんは南々ちゃんに惚れてんだから、間違っても傷つけたりしねえし」
大丈夫大丈夫、と。
なんだか信ぴょう性のない言葉でみんなに背中を押されて、ため息を吐く。それから、仕方なくリビングのドアノブに手をかけた。