とある日。

わたしたちはいつものようにリビングで過ごしていたのだけれど、いつもと違うことがひとつ。



「………」



「………」



「………」



「………」



「いっちゃんも姉さんもどうしたんだよ〜」



気まずさに耐えかねて思わず口を開いた椛に、夕帆先輩が何かを言おうとして、結局口を閉ざす。

そう。いつみ先輩と夕帆先輩が何やら喧嘩したらしい。




しかもこれがもう3日続いてる。

お互いに会話を交わすときは聞こえているくせに誰かを通して伝言という面倒な手法を使って会話しているし、何があったのかわからないわたしたちも困っているわけで。



「どうするんですか?あれ」



「ルアが聞いてもだめだったしねえ」



「なーお前聞いてこいよ」



「わたし!?

ふたりと付き合いの長い莉央が行くべきじゃない!?」



「ななせ、

おおきい声だすときこえちゃうよ……?」



リビングの外で、こそこそ会話する。

ちらっと伺ったリビングの中はピリピリしていて、どう考えたってわたしはあのふたりの仲介役になりたくない。