我が学園が誇る赤薔薇のプリンス。

八王子の長男であるルノくんに。



「ねえねえ、ルノ」



気になっていたことを、聞いてみた。



「……どうかしたんですか? 南々先輩」



いつみ先輩と夕帆先輩の大学合格が分かり、旅行も終わり、卒業をもう間も無くに控えた今日この頃。

リビングでみんなと談笑していたとき、ふと彼に質問を投げる。



「あのね。

ルノって、いつみ先輩と椛とわたしのことは「先輩」って呼ぶじゃない?でも、夕帆先輩と莉央のことは「さん」って呼ぶでしょう?」



その理由が気になっていた。

まあ強いて言うなら、特に意味のない何気なしの質問だったのだけれど。




「え、ルノ?」



手に取ったチョコレートを思わず落とすという、ルノにしては珍しい動揺に、思わずこっちがおどろく。

まって、なにそのびっくりしたような反応。



「、偶然ですよ偶然」



「いや、すごく動揺してるじゃない」



「気のせいです」



「あのねぇ、ルノの呼び方は、」



「ちょっとルア黙って」