「は、い……」
たどたどしく言葉を返した。
それと同時に抱きしめられて、ドームの中が一斉に歓声で満たされる。飛んでくる冷やかしの声に、止まった涙がまた溢れ出した。
寂しい涙じゃなくて。
あまりにも、うれしいから。
「……っ、ずるい、」
「卒業したらそばにいられねえからな。
こうやって"俺の"って見せつけとかねえと、余計な男が寄ってきたりするだろ?」
ずるい。ずるい、ずるい。
どうしていつもそうやってわたしを喜ばせるようなことばかりするの。
守れない約束など交わさない彼の言葉だからこそ。
こんなにも嬉しくて愛おしくて、涙が出る。
「……わたしもはやく結婚したいなぁ」
ぽつり。
小さく零したいくみさんを思い出したように、いつみ先輩が手を伸ばす。それからプレートに乗せられていた、ゴールドのバッジを手にとって。
「え……、」
わたしがはじめてピンクゴールドのバッジをもらった時と、同じように。
彼は自分の手で、わたしの襟にそれを留めた。
今も留まっているピンクゴールドのバッジ。
そのすぐ隣につけられた、ゴールドの王冠。
『R』はロイヤル部の姫である証拠。
『OQ』が刻印された、ゴールドのそれは……
『がんばれよ、初の女性生徒会長』



