ロイヤル部としての、終わりを迎える。
C棟の扉の箔押しは生徒会棟のプレートに変更されたし、来年度からはバッジも『OQ』の刻印にもどる。……そして、C棟に出入りするカードも。
すべてからロイヤル部の文字が消える。
それがなんだかすごく、切ない。
ロイヤル部の名前が、この学園から消えてしまうこと。
……不可抗力なのは、わかっているけれど。
「南々瀬」
はっきりした声で呼ばれて、顔を上げる。
その口調は、ルアがわたしにルノの婚約者の話を告げた時以来のもので。無意識に息を詰めた。
「いつみと夕帆も、きっと寂しがってるよ」
「……うん。みんなも、ね」
ルアが、「大丈夫だよ」と手を握ってくれる。
それを離すこともしないまま、ドームに向かえば。役員席には5人分の椅子しか用意されていなくて、切なさを呑み込むようにそれに近づいた。
「遅かったな~。……泣いた?」
「ううん。
……色々思い出して、ぼーっとしてた」
「あいつら卒業しても、
1、2年はまだ終業式じゃねーけどな」
「いいじゃないですか、2年生は。
修学旅行に行ったらそのまま春休みですよ?終業式のときなんて、俺たち1年しかいないんですから」
「おーおー、寂しさ味わえ1年生。
王学は変わった時期に修旅だから仕方ねーよ」
王学の修学旅行は3月だ。
しかも修学旅行からそのまま春休みに突入してしまうという日程。春休みに会う予定を立てなければ、お土産を渡す機会も新学期まで無い。