「つーか、無理だったらアレでよくね?
C棟のゲストパス、ずっと貸しといてやるよ」
「ああ、それいいですね。
いつでも好きな時に出入りしてもらえれば」
「来年の生徒会長って誰なんだろうねえ。
……3年しかなれねえから、なるとしたら俺か莉央か、全然ロイヤル部に関係のねえ男子だろうけど〜」
「莉央さんじゃないですか? 成績的に」
「……るーちゃん最近ほんと俺に遠慮ねえな。
まあでも俺と莉央のどっちが会長になっても、間違いなくお前ら指名してやるから大丈夫だよ〜」
未来の話をするのは嫌いだった。
ここに来た時、わたしの未来は別れだと決まっていたから。だけど今はもう、それに怯えることもない。
いつみ先輩が、もっともっと先の未来を約束してくれているから。
わたしたちの関係が、王学内にとどまるわけでもないし。
それこそ。
双子が八王子の名前で活躍できるようになった時に。椛が教師になれた時に。莉央が一度捨てようとした自分に価値を見出せる様になった時に。
夕帆先輩といくみさんの、名字が同じになった時に。
そばにいられたらいいな、と思う。
「ふふっ。
それじゃあわたし、授業以外はC棟に入り浸ることになっちゃうわね」
「みんな、ななせなら大歓迎だよ?」
大和ことを好きになったり夕陽と付き合ったり。
色々あったけれど結局彼のところに行き着いたのだから、本当に運命なのかもしれない。
「ありがとう。
でもその前に、頑張ってこの作業の山を消化しなくちゃ」
お互いの向かう方向性がばらばらになったとしても、切れないと信じてる。
14年前の約束が、わたしといつみ先輩だけでなく、ロイヤル部のみんなをつないでくれたように。