へえ。そうなのか。
しかもそれは回収するわけではなく、バッジの裏に何年度の役員なのかを記載してあるため、代々生徒会に所属した人は記念品として各自で残しているらしい。
つまり去年の『OQ』を刻印したシルバーバッジは、いつみ先輩、夕帆先輩、椛、莉央の4人が持っているということだ。
今度機会があれば誰かに見せてもらおう。
そんなことを考えながら書類を見つめて、ふと。
何気なく思い出した会話に、顔を上げる。
「じゃあ来年からまた生徒会にもどるのよね?」
「そだよ〜」
「……ならわたしは役員じゃなくなるってことよね?」
ぽつり。
何気なくつぶやいたそれに、一瞬部屋が静まった。
もともと生徒会役員は男子だけで構成されてるみたいだし。
わたしはここにいられないなと思っていれば、沈黙の後、みんながふっと笑みをこぼす。
「んなこと気にしなくていいじゃねえの」
「こん中の誰かが生徒会長になったら、
お前のこと役員に指名できるように理事長に直談判してやるっつの」
「そうですよ。
それに南々先輩の成績と仕事のはやさをみたら、誰も咎めたりしませんし」
「みんないっしょに、役員になれたらいいね?」
別に生徒会役員にしてほしい、という催促をしたわけではなくて。
ただみんなと一緒にいられなくなるのが寂しいな、と思っただけなのに。
みんながそう言ってくれるから、思わず頬が緩んだ。
それにこれまでの校則に則って生徒会役員になれなくとも、みんなはわたしのそばにいてくれるような気がする。



