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「おはよう、姫。
前から思ってたけど、肌綺麗だねえ。まわりの子はそういう時期だと思うけど、メイクとか興味ねえの?」
「おは、よう……?」
──翌朝、学校に登校する直前に。
女王先輩から「南々瀬ちゃん今日は教室に寄らずにこっち来てね」と連絡が入り、わたしは大和とみさとと別れてC棟に寄った。
……そうすれば、なぜか、この状況。
リビングに足を踏み入れればルノくんと珠王先輩はおそらく騎士椛が作ったであろうフレンチトーストを食べていて、その彼は。
「ほら、俺が話してんのによそ見禁止」
「……ごめん全然意味がわからない」
わたしを壁に追い詰め、甘く囁いてくるのだけれど。
本当に意味がわからない。女王先輩はくすくすと笑っているし。
……そういえば昨日の放課後、ふたりって喧嘩してたんじゃなかったっけ。
女王先輩が男である衝撃にすっかり忘れていたけど、胸ぐらつかまれてまでバチバチしてなかったっけ?仲直りしたんだろうか。
「んじゃあ、言い方を変えようか。
……俺らっていう存在がいながら、男とふたりでイチャついてるなんて、ひどいじゃねえの」
「……はい?」
「昨日。C棟の前でイチャついてただろ〜?」
C棟の前でイチャついてた……、って。
もしやと思い「大和のこと?」と問えば、彼は「ほら」と口角を上げる。ほらってなんだ、ほらって。
「俺のことは名前で呼んでくれねえのに、
あいつのことはすんなり呼んじゃうんだ?」
「女王先輩この人どうにかしてくれませんか」



