ぎゃあぎゃあと、騒がしい声が聞こえてくる。

近づけばそれは主に夕帆先輩のもので、今日もロイヤル部は賑やかだなと思わず笑みが漏れた。



かちゃり。

ドアノブに触れて、扉を開けてみれば。



「おはようございます」



目を見張ってわたしを凝視する夕帆先輩と。

その他同じように驚いているのが数人。それを見て、たぶんいつみ先輩は黙ってたんだろうなと薄ら思う。



「おはよう。昨日はちゃんと眠れたか?」



「うん」



リビングに足を踏み入れれば、問い掛けられてうなずく。

そうか、と小さく零した彼は、近寄ったわたしの額に口づけを落とした。最近知ったことだけれど彼は何かとスキンシップ過剰だ。




「え、ええっと……?

南々瀬ちゃん、なんでここに……?」



「なんでって、今日始業式じゃないですか。

あ、遅くなりましたけどあけましておめでとうございます」



「ああ、うん……

でも王学退学したって聞いたんだけど……?」



「はい、退学届は提出しました。

……でも残念ながら、受理されなくて」



ふふ、と笑うわたしに、「なんだそれ……」と脱力する夕帆先輩。

どうやらいつみ先輩から、わたしが退学したと聞かされていたらしい。



本当はその予定だったけど、退学届は不受理でいいわよね?と、尋ねてきた理事長秘書の彼女を思い出す。

よく似てる。先輩と、いくみさん。



姉弟なんだから当たり前だけど。

ふたりの中にある芯みたいなものが、よく似てる。