夕陽は。

出会った時から、変わらずにまっすぐで。



「なんで……留学で別れて、そのあと日本にもどってきてんのに……

俺のとこには戻ってきてくんないの、って」



「、」



「……ずっと思ってたけど。

ごめん。ナナにも事情があったのに、自分勝手なことばっか言って傷つけた」



「……ううん」



「……ありがと。俺に話してくれて。

明日、学校のあと仕事あるから空港行けないけど」



顔を覆っていた手のひらを、下ろす夕陽。

ゆらゆらと淡く揺らめく透明な雫。ふちに溜まったそれは、今にもこぼれ落ちてしまいそうで。




「……っ」



腕を伸ばして、彼を抱きしめる。

そうすれば夕陽はわたしの肩に顔をうずめて、鼻を啜った。



「ばか……、

っ、さみしいに、決まってんじゃん……」



「……うん」



「……っ、こんな好きなのに、」



夕陽の声が震えてる。

昔から甘えただったけど、夕陽がわたしの前でこうやって涙を見せたのははじめてで。それくらい真剣に想ってくれてるってことは、言われなくてもわかった。



「っ……好きだよ、ナナ、」