「知らないの?

南々瀬ちゃんといつみ、付き合ってるわよ?」



「は?」



「ご褒美旅行に行った日あったでしょ?

あの日、いつみが散々手を尽くして南々瀬ちゃんに好きだって言わせたから、」



「はあ……!?」



「あらあら、言ってなかったのね。

まあいつみが受験ってこともあって、南々瀬ちゃんがかなり遠慮してたけど」



いつみに絶対迎えに行くと言われて安心したみたいだ。

付き合うことも随分とためらっていたようだけど、それはもう14年ずっと変わらずに好きだったいつみが、彼女を自分のものにしたかったんだろう。



いつみはもう二度と、彼女を離したりはしない。

それこそ。──ずっと、永遠に。




冬休み前、冗談半分でどこまでいったの?って南々瀬ちゃんに聞いたら、顔を真っ赤にして「キスだけです」って答えてくれたけど。

……さて、どこまでいつみの理性が持つことやら。



「年内に、もどってくるだろうし。

引き続きあの子には王学に通ってもらうわ」



ロイヤル部なんて、ロクなことしないなだろうなと思ってたけど。隠された計画を暴いた挙句、14年想った相手を彼女にしてしまったんだから凄い。

……でも恋愛にうつつを抜かすのはさておき、大学はちゃんと合格してほしい。



「ま。

帰ってきたら、おめでとうって言ってあげて」



「それはいいけど、」



「じゃあね。

独り身ばかりで寂しいクリスマスだけど楽しんで」



ひらひら。手を振ってリビングを出れば、うしろから「俺独り身じゃねえけど!」なんていう夕帆の声が聞こえてきたけど。

理事長秘書は忙しいんだから、また今度ね。