南々瀬ちゃんが、15年前から人質だったこと。

そして14年前の約束とロイヤル部設立のおかげで計画が発覚し、今回の爆破に至ったこと。



すべて話せば、5人とも微妙な反応を見せる。



「だからあの子、

いつみに好きって言わなかったのね……」



「南々先輩とご両親の情報がロックされてたのは……

政府が計画と引き換えに、隠したってことですね」



「まあ、そういうこと。

……いま、珠王と八王子のトップが動いてるから」



彼女がいつみと帰国した頃には、政府の下衆な計画は終了してる。

あと数時間もすれば、政府は姫川夫婦を手放さざるをえない状況に追いやられるだろうし。



南々瀬ちゃんは、おそらく両親と日本を離れて暮らしたかっただろうけど。

姫川夫妻は南々瀬ちゃんさえ安全なら、なんでもいいらしい。




元々ふたりは、珠王のもとで働く優秀な研究員だ。

話し合った結果、今後も珠王の研究員として働くと言っていたし。そもそも、いつみがこの計画を知らなかったとしても、なんとでもなった。



もし、遠距離になったとしても。

グローバルに活動してる珠王が、たとえば彼女の移住先に病院関係のものをつくったとして。



いつみが責任者になれば、その国で南々瀬ちゃんと暮らすことだってできたわけだし。

結局南々瀬ちゃんは、自分の中で色々と背負いすぎただけ。



もっと早くいつみに好きだって言っても、なんとかなった。

……なんて、いまだから言える話だけど。



「ハワイは今イブの午後6時ね……

いつみに、今すぐ帰ってこなくていいって連絡しなきゃ。イブくらい一緒にいたいだろうし」



「いやいや、そんなことしたらいつみは間違いなく南々瀬ちゃんのこと食うでしょ」



慌てたように引き止める夕帆と、同意するようにうなずいている他のメンバー。

……あれ? もしかして。