「……話したかったのは、お前の態度のことだ」
「、」
「体育祭の日の朝。
俺は、お前に振ってくれればいいと言った」
ドクドクと、いつもよりも圧倒的に早い鼓動。
緊張のせい? ううん、違う。なに、これ。
「そのあとのお前の返事は『ごめんなさい』だ」
「……、はい」
確かにわたしはあの日、先輩に泣きながらそう言った。
だけどそこに含まれていた意味は、告白への返事じゃない。そんなこと先輩に言えるわけもなくて、誤魔化すようにただ謝っていたけれど。
「でも、そのあとお前は膝枕に対しても、あのキスに関しても何一つ文句を言わない。
……椛の公開告白にはあっさり「ごめん」って言ったのにな」
ドクン。
何かに気づいたみたいに、鼓動が変な音を立てた。
「ルノの告白の返事も、なんだかんだあっさりだったらしいな。
……それならなんで、俺に対してだけはあんなに泣いてた?」
「そ、れは、」
「挙句振った相手からの無理なリクエストにもお前は何一つ嫌な顔をしない。
……なあ、そう考えたときに、俺がどう思ったか教えてやろうか」
先輩が、すくっとソファから立ち上がる。
そのままわたしのそばまで歩み寄ってきたかと思うと、目線を合わせるようにして屈み込んだ。
「お前が本当は、
俺のこと好きなんじゃねえかって」