ギシ、と妖しい音を立てて軋むベッド。

見上げた視線の先には、いつみ先輩。



「いつみ、せんぱ、っ……」



近さに戸惑う間も無く、くちびるが触れた。



先輩の匂いが近すぎて、わけのわからない何かに足元をすくわれる。

彼のカーディガンはつい先ほど返したはずなのに、数時間で自分自身に染み付いた彼の匂いに、思考が熱でおかしくなる。



「安心しろよ。何にも邪魔されねえ。

……だから素直に、俺の質問に答えればいい」



「っ、」



そしたら離れてやるよ、と。

悪魔のような囁きに、惑わされる。




時刻は23時前。

場所は一等地に建てられた、セキュリティが頑丈すぎる最高級の城の中。



「それとも……

このまま、俺に好きにされる方がいいか?」



燃えるような熱さで全身を染め上げて。

どうしてこうなったんだろうと、つとめて冷静に自分の記憶をさかのぼる。



「答えろよ、南々瀬」



「せ、んぱい」



「簡単なことだろ?」



ああもう、どうして?

一体どうして、こんなことになったの。