「結構アバウトですよね、これ」
バスが止まったのはみなとみらい地区。
横浜港を望める臨港パークから出発し、ポイントをいくつか回って、スタートであるこの場所へもどってくる。それからホテルのビュッフェだ。
しかもポイントをすべて回って最後の集合時間に間に合うのならば、商業施設に入って買い物もOKというアバウトっぷり。
パートナーは常に一緒で、ほかのペアと混ざって行くのは全然良いのだけれど。
「いつみ先輩?」
「……普通に回れば、3時間潰せるだろ」
わたしと一緒に回るのは、いつみ先輩なわけで。
みんな遠慮したのか、ふたりきり。
現時刻は14時半。
最終の集合時間は17時半で、まわるポイントはゴールであるここを含めて5つ。中華街や赤レンガ倉庫をはじめとする、横浜に詳しくなくてもある程度の人が知っている有名スポットが多い。
「……位置的に、
赤レンガ倉庫からでいいですか?」
「ああ。……行くか」
チェックカードとともに渡された簡易マップをぴらっと揺らめかせる。
みんな早々に散り散りになってしまったから、ここには待機の先生たちしかいない。
この気温だからか海のそばだからかすこし肌寒いなと思いながら歩き出せば、するりと手を握られた。
しかも指先まで絡めた恋人繋ぎ。
「っ……先生たち見てますよ」
「いいだろ。
どうせ付き合ってると思われてる」
でしょうね……っ。
でも問題はそこじゃなくて、一瞬にして早鐘を打ち始めたわたしの心臓なんです……!



