「……ほかに一緒に行きたいヤツ、いたんじゃないのか」
心中穏やかに過ごせるなら夕帆先輩やルアでもよかったけれど。
誘えるのなら、先輩と一緒に行きたかった。
……そんなこと恥ずかしくて言えないけど。
わたしとしてはラッキーな流れだった。
「どっちにしろ、ロイヤル部の誰かを誘うつもりでしたから。
ふふ……今回パートナーを誘うときに告白して、付き合ったカップルもいるみたいですよ」
「……お前は?」
「……え?」
「……いや。べつにいい」
……お前は?って。
いまの話の流れだと、わたしは好きな相手を誘わなくていいのか?ってこと?誘うも何も先輩だけど。
「……お前、最近告白されてるらしいな」
「あ、はい……」
ロイヤル部の仕事が暇だから、最近は授業に出ていることも多い。
いつみ先輩と夕帆先輩が受験生ってこともあって、みんな邪魔しないようにリビングでも勉強してることが多いし、なんなら椛は教室で授業を受けてる。
そして授業が終わって何かしらのタイミングでC棟にもどろうとすると、呼び止められて。
「好きです。付き合ってください」と言われることが、格段に増えた。
みさとには「モテ期だねー」って言われたけど。
何もしてないのに、なぜにモテ期……
「……ぜんぶ断ってるんだって?」



