先輩と話してたわたしが悪いんだけど。
話し込んで周りが見えていなかったわたしたちが悪いんだけど。どういうことですかと夕帆先輩に答えを求めれば、彼はあきれたようにため息をつく。
「今年の点数制、1位が普通科だったの」
「えっ」
「だからトーナメント戦やろうって話になったんだけど……
普通科の子たちがみんな、『1位になったのは姫のおかげだ』って言い張るから。勝負なしで、南々瀬ちゃんのクラスを優勝にしようって話になって」
「………」
「理事長が姫に意見を求めたからカメラを回したら、」
そのタイミングでわたしたちのキス未遂がうつった、と。
……いや、うん。っていうことは理事長にわたし呼ばれたのよね、たぶん。なのにそれに気づかないぐらい先輩しか見えてないってどうなの。
「え、でも、
まだ最終プログラムまで行ってませんよね?」
「午前中に言ったわよ?
たぶんいつみの体調が最後までもたないから、それだけ中間に回す……って、そうだ。南々瀬ちゃん朝途中でいくみといなくなったんだった」
ごめん伝え忘れちゃった、と。
ぺろっと舌を出して謝ってくる彼女。今日も完璧に美人だ。完璧に美人なのだけれど。
「だ、大事なこと伝え忘れないでくださいよ……」
「ごめんごめん。
っていうか悪いのは話聞かずにいちゃこらしてたふたりでしょ?なに、あたしらの目盗んでずっといちゃこらしてたの?」
「してません……っ!」
どうしてか褒められない美人なのはどうしてなんだろう。残念な美人だ。
……そもそも夕帆先輩は女ですらない。