【完】こちら王宮学園ロイヤル部




優勝クラスはひとつだけだから、たとえ所属クラスに当たっても行けるのは最高でふたりまで。

去年は夕帆先輩といつみ先輩が高級焼肉行ったって言ってたっけ。



優勝クラスを決める方法は、まさかの玉入れらしい。

でもまあ、ある意味平和でいいと思う。



リレーや玉入れなんかは、足の速い人がクラスにいたり体格差が目立つだけで不利に感じるし。

奪い合う種目なんかもあるけど、みんなが優勝をかけて勝負すると危険だし。絶対怪我人が出る。



「、」



「……あ、目さめました?

さっき莉央が薬持ってきてくれたので、」



飲みましょうと、箱を開ける。

目が覚めて間もないからか、それとも体調が良くないせいなのか。わたしをただぼんやりと見上げているだけの先輩。



やっぱり午前中に薬飲んでもらうべきだったと箱から取り出した錠剤を切り離して、手に握る。

起きれます?と問おうとしたわたしの頰に、ひんやり冷たい手が触れた。




「……先輩?」



さっき触れてみたら、熱があったのに。

触れた手が冷たい。さすがにもう気温も肌寒いを超えて寒いし、ブランケットを複数重ねているにせよこんなところで寝てたら絶対悪化する。



やっぱり保健室に行った方がいい。

まだ時間はあるとしても彼は受験生だし、それこそ長引いて進路に影響すると困る。



「……夢の中で、」



「……はい?」



「お前に好きだって言われた気がした」



ドク、と。──不穏に、心臓が軋む。

膝枕でよかった。もし今抱きしめられていたら、ぜったいに否定できないほど心臓がうるさくなっているのがバレるから。