「ふふ、ほんとにね。
……絶対あとで首とか腰とか痛くなると思う」
「おー。
椛が向こうのテントで文句言ってやがったぞ」
「………」
「お前コイツのこと好きなんだろ?」
はっきりと。
言葉にされて、思わず「しー」とくちびるに人差し指を当てた。万が一先輩が起きてたら、わたしが今も黙り続けてる意味がない。
「……言ってやれば?」
莉央のその発言には、曖昧な笑みを返しておいた。
それを見た彼は「まあ色々あんなら仕方ねーけど」と、わたしの頭を撫でて去っていく。
……うん。
やっぱり莉央は、優しい人だ。
「……いつみ先輩」
意味もなく、彼の名前を呼ぶ。
受け取った風邪薬とミネラルウォーターを置いて莉央がくれたジュースに口をつけた。
そういえば……点数のご褒美は何になるんだろう。
今日一番の目玉だから、プログラム的には3年生のリレーという盛り上がりの凄そうな種目の後だ。ちなみにその『今年のPT優勝決定戦』が体育祭の最後。
PTはポイントの意味らしい。
ちなみにこの間のテストでわたしがまたも満点を掻っ攫ったこともあり、今年は特進と普通科が激戦だと噂されている。
……まあ実際の点数は理事長しか知らないから、噂も信用できないんだけど。
どっちにしろロイヤル部のみんなで楽しむことはできないな、と思う。
だってわたし普通科だし。椛は教養だし。
あとはみんな特進で、夕帆先輩といつみ先輩は同じクラス、ルノとルアは同じクラスだけど。



