やっぱり、この学園は普通じゃない。
その仕組みも、それこそ"ロイヤル部"だって。
「いつみ。あんた体調悪いなら昼から保健室で休めば?
特に仕事ないし、競技に出るわけでもないんだし」
「そんなに体調悪くねえよ」
「嘘つけ。
じゃあせめて救護席の方で休んでなさい」
反論しようと口を開いたいつみの声を、「休んでください」と南々瀬ちゃんが遮った。
南々瀬ちゃんが関わると強く出られなくなったのか、いつみは何か言いたげな顔をしてから「わかったよ」と疲れたようにため息をつく。
「いつみ先輩がマスクしてるからどうしたんだって、いろんな子に聞かれましたよ。
みんなに心配されてるんですから」
困った表情で、そう言う南々瀬ちゃん。
その割に視線は優しくて。
「ほら、いきますよ?」
「……逃げねえから引っ張るなよ」
「南々瀬ちゃんいつみのことよろしくー」
お昼を済ませた彼女は、同じように食べ終えたいつみを救護席へと引っ張っていった。
その途端に、取り残された5人で顔を見合わせて、ため息。いつみが不調だと俺らに何かしら飛び火するから、みんな気が気じゃない。
普段迷惑をかけてこないから、それぐらいどうってことないけど。
今回は南々瀬ちゃんが絡んでるから、余計に。
「……卒業するまでに何とかしなきゃね」
ぽつり、と。小さく零す。
ルアと莉央もなんとなく南々瀬ちゃんの気持ちを察していたようで、それには賛成してくれたのだけれど。



