尋ねれば、ルアは口角を上げる。
それから「ぼくとルノは共鳴してるんだよ?」と笑う姿がなんだかとても大人びていて、ドキッとさせられた。
「ルノだって、好きな相手と結婚したい。
でもその相手が南々瀬だから、あきらめて婚約の話を受けた。……だけど、」
本心は。
彼がわたしに打ち明けてくれた、本心は。
「それでもルノが好きなのは、南々瀬だよ」
「……ふふ。それじゃあ、動けそうね」
ファイルをぱたんと閉じる。
それからルアに「持ってて」とお願いすれば、受け取りながら彼はわたしに日付を教えてくれた。
はやく確定してしまいたい相手が念押しで説得するために、二度目の顔合わせとして設けた日付。
今週の土曜日。これはどうやら体育祭の前に一仕事しなきゃいけないらしい。
「この話、ロイヤル部のみんなも知ってるの?」
「……一応、ね。
いつみも家が家だから政界と繋がりがあるし、なんとかしようと動いてくれてるみたいだけど」
「そう。
大丈夫よ。……絶対、なんとかなるから」
本当は使いたくない手段だけど。
もしいつみ先輩の考えている方法がダメなら、そのときはそうするしかない。
「あ、そうだ。
……婚約がどうなっても大丈夫だよ。うちの母親は、別にルノの結婚にこだわってないから」
相手に押されてるだけで、と。
付け加えたルアに、「了解」と返事する。
さて、と。
家に帰ったら、ひさしぶりにあの引き出しを開けなければ。──引き出しを開けるのは、"万が一"と称して拉致される前に開けた、あの日以来だ。



