「ぼくとルノじゃ、意味が違うけど。
……南々瀬は、ぼくの、とくべつだよ」
「あ、りがと……」
「だからもう一回……
ルノのこと、救ってあげて欲しいんだ」
もう一回……?
ルノとルアの過去の話は、もう解決したのに……?もう一回救って欲しいって、いったい、何が。
「、」
聞きたかったけど、ルアがたどり着いた理事長室の扉横にあるベルを押してしまった。
口を噤むと、がちゃりと開いた扉からいくみさんが顔を覗かせる。それから招き入れてくれたけれど、室内に理事長の姿はなかった。
どうやら出かけているらしい。
でも、理事長本人の確認を取らなきゃいけないものじゃないし。ひとまず出来上がった仕事と、調査票を彼女にお願いして。
「あ、待って」
部屋を出ようとすれば、呼び止められた。
はい?と振り返ると、いくみさんが鍵のついた棚を開ける。そしてずらりと並んだファイルの中から1冊を抜き取ったかと思うと。
「はいこれ」
ルアにそれを手渡した。
……ルアが何か頼んでたんだろうか。
「お疲れ様、ファイルありがとう」
「あ、はい。失礼しました」
ぺこっと一礼して、理事長室を出る。
わたしたち以外の生徒は帰ってしまっているから、廊下はシンと静まり返っていて。いつも通りのはずなのに、それが不気味に感じた。



