「"アレ"って……?」
「普特進路希望」
「ああ……」
王学は何度も言うけれどエリートを育成するための進学校だ。
そのため、特進科の1年生2年生、普通科の一定以上の成績を持っている1年生2年生には、「普特進路希望調査票」というのが配られる。
普通科と特進科、来年どっちに進みたいのかを記入して提出するだけのものだ。
わたしは裕に普通科の一定以上の成績を超えているから、それをもらっている。莉央と、双子も特進の生徒だからもらっているわけで。
「まだ出してない」
正確には"出す必要がない"のだけれど。
ほかのみんなに聞かれた時に困るから、一応提出してねといくみさんに言われた。
今月と冬休み明けの2回提出するそれ。
特進は各学年3クラスと決まっているから、今回の提出では来年の比率を確認するだけのものらしい。
「特進で出しときゃいいじゃねーか。
お前なら特進でも授業ついていけんだろ」
「うん、でもあなた授業出てないわよね」
「体育は出てんだよ」
……体育って別に普通科も特進科も関係ないでしょ。
何も言われなきゃ普通科で出しておこうと思ってたんだけど。だって特進科は枠が決まってるし、わたしの分にほかの誰かが進学できるわけだし。
「特進でいいんじゃないですか?
それに一応普通科扱いですけど、南々先輩ってテストは特進科の受けてますよね」
うん、それもおかしいんだけどね。
みんなに「特進で出せば?」と言われてしまったから、なんだかそのままの勢いで特進科希望に丸をつけることになった。