気づけばロイヤル部の料理担当の椛。
積極的に食材を焼いてくれているけれど。さっき変わろうか?と尋ねたら、「南々ちゃんはゆっくり食べてな〜」と言われてしまった。
そんな椛の声に、ミナさんも「そうだね」と同調する。
それから何かに気づいたように、彼はわたしを振り返って。
「南々瀬ちゃんって、留学してたんだよね?
王学に入ってから留学したってこと?」
「いえ、全然。
帰ってきてから王学に入ったので」
「……それって、転校生扱いじゃないの?」
不思議そうに、首をかしげるミナさん。
「そうですよ」と伝えれば、そこに生じる矛盾をどうやら理解できていないようだった。
わたしだけ特例なんです、と。
言った言葉に反応したのは彼ではなく『Fate7』のメンバーのひとりで、たしかわたしと同い年の男の子。
「特例ってなんかすごくね!?」
「……ナナ、この人頭ちょっと弱いから近づかないほうがいいよ」
「は!? 誰に向かって頭悪いって、」
「誰かわかってるからそうやって反抗してんじゃん。
……っていうかほんとナナに近づかないで。馬鹿がうつる」
「うつんねーよ!」
……うん、話が進まない。
もういいや放っておこう。薄々気づいてきたのだけれど、ロイヤル部にせよ彼ら『Fate7』にせよ、面倒な話題には首を突っ込まなきゃいい。
そうやって傍観に徹していれば、ルノに「南々先輩」と名前を呼ばれた。
返事して近づいてみれば、窓の外が色鮮やかに光っていて。