「さてと、

それじゃあサプライズステージの成功と、」



「文化祭の成功を祝して、」



乾杯!と、ミナさんと夕帆先輩の声ではじまったC棟打ち上げ。

窓の外の景色はここからじゃ見えないけれど、今頃全校生徒は最終の後夜祭を楽しんでいるところだろう。間も無く花火も上がるはずだ。



そんな中で、わたしたちはC棟にこもりきり。

仕事も終わっているし、何より差し入れで昼食は済ませたけど、みんなお腹空いてただろうし。



わいわいと、各自好きに食べ始める。

焼肉といっても大きめのホットプレートをふたつ出して野菜やらお肉やらを焼いているだけだから、そんなに豪華なものでもないけれど。



「ナナ、俺らのステージどーだった?」



するすると隣に寄ってきた夕陽。

心なしか楽しそうな顔を見る限り、どうやらサプライズライブが楽しかったんだろう。確かにあの熱気は本当にすごかったけど。




「かっこよかった」



思った通りに褒めれば、彼はふっと嬉しそうに笑う。

その無邪気さを見て、アイドルの仕事が本当に楽しいんだろうな、と薄ら思った。



『Fate7』がステージに上がった時の盛り上がりといえばもう、すごかった。

デビューしてからまだ間もないこともあって曲数が多くないから、有名なシングルとカップリングの数曲を歌ってくれたのだけれど。



みんながステージからおりてからも一向に熱気は冷めなかったし。

しかもリーダーのミナさんが軽い自己紹介の際に、「王学の姫にご招待いただき、」と話したことで。



あとでいろんな学科の女の子たちに囲まれて、「姫川さんありがとう」と泣きながらお礼を言われたのはさすがに驚いた。

みさとも彼らのファンだから泣いてたけど。



「それにしても王学の設備ってすごいんだなー。

ドームとか超歌いやすかったし、俺も転校したい……」



「王学は転校受け付けてないから無理だよねえ」