「おはよっ、朝からご苦労様〜っ!」



「みさと。おはよう」



──本日、文化祭。

校門を入ってすぐのところで受付の確認をしていたら、登校してきた彼女は笑顔でわたしに抱きつく。



それを受け止めて甘い赤茶の髪を撫でてあげると、彼女はふわりと笑みを見せた。かわいい。

昨日は遅くまで作業に走り回り、ようやくリビングに揃った全員でホッと一息をついたのは18時過ぎ。



頑張っていた椛にご飯を作ってもらうのも、と、昨夜はデリバリーで済ませた。学校にデリバリーを頼んで届くのが凄い。

そして、昨日ははじめてC棟の自室に泊まったのだけれど。



今朝起きたら椛がすでにC棟のキッチンにいて。「昨日の晩飯は休ませてもらったから」と、完璧なモーニングを人数分作ってくれていた。

それを起きてきたみんなで食べ。『実行委員』と『生徒会本部』の二種類の文字が入った黒い腕章をつけて、全員でC棟を出た。



わたしとルアは受付、夕帆先輩とルノは本部。

現時点ではまだ動かなくてもいい残りの3人も本部にいるけれど。生徒が登校してきているから、時期に椛と莉央も動く頃だろう。




「南々瀬、休憩何時に入るの?」



「わたし?

13時から1時間よ。そのあとルアと交代ね」



「えっ、じゃあかぶんないじゃん……っ!

せっかく3人で回れると思ったのに〜っ」



……そう言われても。

3人で回れると思ってたってことは、大和とは時間が被っているんだろう。2人で回ってと言えば、頰を膨らまされてしまった。



「南々瀬、誰とまわるの……?」



「ん? いつみ先輩」



聞かれたから、答えただけなのに。

彼女はなぜか「ああ……」と残念そうな顔をした。